ヨーロッパで発祥したオペラは、日本の歌舞伎とほぼ同時代の劇場芸術として４００年以上の歴史があります。しかしながら、その歩んだ過程は対照的なものがあります。東西の劇場芸術の歩んだ道をたどり、その周辺に創作された絵画を合わせ鏡としてオペラの照明を考えていけたらよいものと考えております。歌舞伎は１枚の絵画として２次元的な取り扱いをしてきたと言えます。背景となる装置、美術は陰影のないものとなっており、役者の顔も、白塗りや隈取に見て取れるように陰影付けない照明を要求されているといえます。表現方法の相違でいずれか優劣をつけるものではありません。オペラハウスは３次元的立体的造形を追求してきたものです。又、西欧の２次元的絵画においても、浮世絵とは好対照となっております。こうした西洋絵画と劇場の成立を、スライドを見ながらオペラの劇場、照明についての話が出来ればと考えております。

株式会社ア－ト・ステージライティング・グループ会長/OISTAT副会長

奥畑 康夫 氏